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最期の闘い


CT撮影をし、原因がわかりステロイド剤プレドニゾロンの投与でいい状態を保っているアンディー。
2005年2月12日には、お友達のおうちに12月に北海道からやってきたフラットコーデットレトリバーのルビィー姫に近所の公園でやっと会わす事ができた!
そのお友達のお家にはなんと、アンディーのお兄ちゃんにあたるワンの息子がいた。不慮の事故で亡くなってしまってから 私達はお友達になった。だから、その甥っ子君にもアンディーを会わせる事ができなかった。それをとても残念に思っていた私は どうしてもアンディーをルビィー姫に会わせたかったのだ。
その日 その公園には他に3頭のフラットが来ていて
一緒に遊んでもらった。
わさわさと黒犬が5頭!誰が誰だかわからない!
でも、アンディーはピアリスのそばにくっついているし 1番でかい!
他の元気いっぱいのワンに比べると少し 動きは劣るが 脳に腫瘍があるなんて誰もわからなかったと思う。アンディーも楽しんでいた(と思う)
しかし、ルビィー姫とはこれが最後になってしまった。このちょうど1ヵ月後、アンディーは虹の橋へ旅立つなんて、知る由が無かった・・・・。   


その後もアンディーは復調し、寝たきりになる事はなくなった。トイレも自分で行けたし、食事も前にも増して猛烈によく食べた。
元気もあったしピアリスともよく遊んだ。ピアリスも
アンディーが元気になって喜んでいた。

ただ、このプレドニゾロンという薬が いつ効かなくなるのかという不安が いつも心の中にあった。
いつかは効かなくなるのだ・・・。怖くて普段は考えないようにしていた。「今」が大切だった。
アンディーが歩いて、走って、吠えて、食べて、遊んで、という「今」が・・・・。

前回の発作からもうすぐ1ヶ月。また何かが起こるのでは?という不安が日に日につのる。そして・・・





2005年2月26日(土) この日は朝から地区の子ども会の廃品回収があり、夫婦で参加していた。次男を留守番に置いて。
途中、次男の友達が私たちのところにやって来て、
「S君(次男の事)と遊びたい」
と言ったので 
「うちにいるから行ってごらん」
と言ってその子たちは 我が家へ向った。その時は別に何にも考えてなかった・・・。

しばらくして、携帯が鳴り見ると自宅からだった。
「どうしたの?」と言うか言わないかのうちに
次男が泣いているのがわかった。
「アンディーが、アンディーが、発作起こした!!」
次男もどうしていいかわからず泣きながら混乱していた。
「わかった!今行く!」と言って 私は走り出した。
周りの人に「すいません!ごめんなさい!」と走りながら 途中退場する事を謝った。
我が家に走って向う途中、主人に電話した。
「Sから電話きて、アンディーがまた発作起こしたって!!早く帰って!!」と息も切れ切れに。
運動不足の私が こっちが発作が起きるんじゃないか?と思うくらい走った。距離にして500メートルくらいだろうか。
家に着くと、主人の方が先に着いていた。アンディーは倒れ、痙攣していた・・・・。
次男の顔は涙と長く伸びた鼻水でぐちゃぐちゃだった。ごめんね、S。よく頑張ったね。
主人がアンディーに発作止めの座薬を入れようとして
焦っていた。私が手伝い何とか入った。
しばらく様子を見る。この時点でかれこれ15分は経っていると思われる。長い・・・。

やっと、痙攣が治まってきた。しかし 立ち上がろうとしても4本の肢がバラバラの動き。
「アンディー!」と呼んでもこっちを見ない。いや、見えてない。神経障害が出ていた。目の焦点が定まらない・・・。
痙攣の途中で出てしまった便で体が汚れていた・・・。
ハァハァと荒い息遣い。
痙攣は治まったのではなく、弱まっただけだった・・・。
その後も微弱な痙攣が ずっと続いていた。

きっかけは 次男の友達が遊びに来て、ドアをノックしたからだと思われる・・・。玄関ブザーはかなり前に
アンディーのためにはずした。その音で興奮してしまうから。
ブザーが鳴らないため、次男の友達はドアをドンドンと叩いたのだろう・・・・。「誰か来た!」と思って 嬉しくて興奮してしまったアンディー・・・。結果・・・・。

前日、K先生の病院にお薬を取りに行った時、K先生が
「どうだ?調子」と言ってくれて「順調です♪」と
答えたばかりだったのに 次の日にはこんな状態で 
K先生のとこに行く事になってしまうなんて・・・。
アンディーを車にやっと乗せ、病院に行った。
痙攣が止まらず、その痙攣は厄介なことに微弱で
強い座薬を入れるまでには 至らない・・・。

K先生は「車から降ろさなくていいよ」と言って
アンディーを診るため外に出てきてくれた。
そのまま車の中でステロイドの注射。
この前は劇的な回復を遂げたのに、今回はなにも変わらなかった・・・。

午後7時50分、また大きめの発作が起きた。
30分経っても止まらない・・・。
K先生に電話。でも残念ながら留守。
留守電がK先生の声で帰る時刻を伝えてくれた。午後10時。それまで何をしよう・・・。
アンディーは立つ事もできず、ご飯も食べれず定期的に起こる痙攣と闘っていた。座薬も効かなかった。
よく耐えてるよね・・・。頑張れアンディー!負けるなアンディー!また一緒にドッグラン行くんだ!!

10時になりK先生に電話。以外にあっさりと「座薬5本入れてみて。そしたら眠るはずだから。」と言った。

言われた通り、5本の座薬を入れる。10時10分。
しかし、アンディーの痙攣は止まらず、眠ることもできず朝になってしまった。
翌朝、7時30分にK先生にまた電話。
8時においでと言われ アンディーを連れて行く。

「困ったなぁ」K先生はそう言って腕を組んだ。
アンディーは痙攣が治まらず、小さくずっと震えていた。そんな状態でも意識ははっきりしていて 
自分が今 どこに来ているのかわかっていた。
「眠らせるかぁ・・・・。」とK先生が言った。
「この状態を解くために 安楽死に使う薬を致死量に満たないくらいに打って 体を眠らせて様子を診るしかないなぁ」という事だった。
絶対死なない事をK先生にしつこく確認して
その処置を施してもらった。

その注射を打たれたアンディーは 本当にすぐ深い眠りに入った。ものの数秒。呼吸を何度も確認して
この程度の呼吸をしていれば問題ないという事で
それ以上もそれ以下も危険である事の説明を受け、
様子を観察しているように言われた。
また、前肢に留置針が入れられた・・・。
これで何度目だろう・・・・・。

「この量の注射なら、普通だったら夕方まで眠るはずだから。う〜ん、でもこの子は早いかもなぁ。早くて3時間くらいかもしれない」
と言われ、アンディーを連れて帰った。


3時間後、やはりアンディーは目を覚ました。
痙攣は少し治まっていたが、完璧ではなかった。
食欲はあったので ご飯とお水をあげた。
立ち上がる事はできず、伏せの体勢でささえてあげて食べさせた。
夕方、もう1度K病院へ。
痙攣が治まらないので、もう1度だけ同じ処置をして
もらう事にした。
アンディーはこの時、何を考えていたのだろう・・・。
アンディーの頭の中は どうなっていたのだろう・・・。

また3時間後、アンディーが目を覚ます。
でも、痙攣が止まっていた!!よかったぁ〜〜!!
でも、立ち上がる力はなかった。
またオムツでの生活を余儀なくされた。
それでもいい。またアンディーは復活するんだから。
そう信じ アンディーの介護が始まった。

痙攣は止まったものの、体の状態はよくなかった。
意識は普通なので、色んな事をしたがる。
立ちたい、食べたい、遊びたい 反対側を下にして寝たい。どれ1つとっても自分では何もできなかった。
オムツは人用のMサイズをはかせ、それだけでは
どうしても尿が横から漏れてしまうので、
オムツパッドを中に入れて オチンチンの周りにあてた。
動くとずれるので ワンちゃん用のサスペンダーを買ってつけた。
オムツパッドをつけたらかなり横漏れが減った。





朝はアンディーの「立ちたいよう」の鳴き声で起こされる。「はいはい、今行くよ〜」と言ってアンディーのもとへ。「よいしょ」とアンディーを立たせ
ベランダのトイレへ誘導する。
あれからアンディーの目は 殆ど見えなくなっていた。歩きながら ゴツンゴツンと頭をぶつける。
頭を保護するために 小さいクッションに紐をつけて
アンディーの頭に乗せ 即席防災頭巾も作った。
かなり急いで作ったので、使い勝手が悪かった・・・。

そんな毎日だったが、アンディーの回復を信じ、私なりに一生懸命だった。
結構マメに洗っていたマイカーも アンディーが倒れてから1度も洗車しなかった。お蔭で白い車がグレイになった。
家族もみんなで協力して家に誰もいなくなる事がないようにした。
でも、期待していた回復はなく、日に日に弱っていくように見えた。ただ、食欲だけは衰えずアンディーは
しっかり食べてくれた。それが救いだった。
しっかり食べるという事は しっかり排便もあるということで、オムツでの排便はおしりの毛がたくさん汚れた。毛を切ってしまおうとも考えたが、
回復した時にお尻の毛がないのがかわいそうで、
切れなかった。だからムースシャンプーで きれいにしてあげた。

ピアリスもアンディーが具合がよくないとわかったらしく、「遊ぼうよ♪」というしぐさを一切しなくなった。ピアリスなりに心配していたのだろう・・・・。

K病院にもお薬をもらいには行ってたが アンディーを連れて行く回数は減っていた。
もう、できることはなくなっていた。
今飲ませている薬を続けることくらいしか なかった。

調子のいい日は立ち上がらせると、長い時間歩いていた。左旋回が1月28日の発作以降また始まり、何度も旋回を繰り返す。自分の意思ではない。
自分だったらどんなに辛いのだろう・・・・・。おそらく気が狂ってしまうだろう・・・。そんな風に考えながら
アンディーの逞しさにただただ、涙が出る・・・。

3月8日、気分転換になればと思い、埼玉スタジアムに散歩に行った。
車でそこまで行き、主人が抱っこして車から降ろした。少し離れた所で 以前埼スタに来た時にお話したことのある ラブラドールのハナちゃんとお母さんが
こっちを見ていた。残念ながら今のアンディーは
他のワンちゃんと接触させられないので 
見て見ぬふりをした。

芝生の上にアンディーを降ろし、様子を見ていると
立ち上がろうとするので、立たせると
嬉しそうに歩き出した!ピアリスの姿を確認しながら
私達と一緒に歩いた。
どうしてもバランスをくずして 腰を下ろしてしまうけど、また立たせると一生懸命歩いた。
途中、休憩させながらスタジアムの周りを いつものように1周した。右側に主人がいると左旋回もしなかった。私達もアンディーも嬉しかった。
このまま、また回復してくれると信じた。
また、来ようね、アンディー!
そう言って埼玉スタジアムを後にした。

しかし、これで埼スタでのお散歩は最後になってしまった。もう2度とアンディーはここに来れなくなってしまった・・・・・。
この4日後、とうとう、アンディーとの別れを迎えることとなってしまったのだった・・・・。

 
      

       
            子どもたちと                                            

                     
  

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